前回の記事で、エスプレッソの作り方に関しては書きました。
今回はミルクスチームの方法を紹介してききたいと思います。
ミルクのスチーミングはバリスタの技術を習得する上で
一番のハードルなのではないでしょうか。
僕もバリスタとして仕事を取る前、取った後とも
スチーミングに関してはとても悩みましたし、勉強を続けました。
ここではスチーミングの概要から豆知識、コツまで書いていきたいと思います。
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スチームドミルクとは
日本ではコーヒーに普通のミルクを混ぜて、カフェオレとして飲む文化があります。
ですが、ここで言うスチームドミルクとは冷たいミルクに、熱い蒸気(スチーム)を入れて作られたフワフワのミルクのことです。
ここでのスチーミング仕方でラテ、カプチーノ、フラットホワイトを作り分けることになります。なので大変重要な工程になります。
バリスタの腕ひとつで、ボソボソの香りの悪いミルクになるか、シルクの様に輝く、香り高いミルクになるか大きく別れるところです。
ジャグにミルクを注ごう
ジャグとはいわゆるこの金属の容器のことです。
今回はコーヒー一杯分のスチームドミルクを作るとして説明していきます。
まずミルクは冷えたものでなければいけません。
基本的には毎回ミルクのボトルを冷蔵庫に入れておいて必要な時に出すと良いでしょう。
ミルクが冷えていないと、スチームを入れる時にも困りますし(後述)、何より衛生面で大変危険です。
カフェでも朝の忙しいときはミルクボトルを出しっ放しにしてコーヒーを作ることが多いですが、客が途絶えた後は冷蔵庫の中に入れる様にしましょう。
ミルクを入れる位置はジャグの口の根元までです。↓
多すぎるとスチーミングをした時ミルクが溢れてしまいますし。
少なすぎるとミルクが早く温まりすぎてしまいます。
スチーミングその1(ノズルの角度、深さ)
ミルクの中にスチームノズルを入れる前にまずはスチームの空ぶかしをしましょう。(少しで大丈夫)
これは中に溜まっている汚れやミルクを取り除くためです。
次にジャグにスチームノズルを入れますが、ノズルの先のチップが8割ぐらい、角度はノズルが70度ぐらいにします。
ジャグを持つ手が安定しないと思うので、ジャグの注ぎ口にノズルを沿わせて固定すると持ちやすくなります。
スチーミングその2(空気の入れ方)
スチーミングするときは思い切ってスチームのパワーを全開にしましょう。勢いが強くて怖いかもしれませんが、慣れてくるので大丈夫です。
この時にスチームノズルの深さに注意しなければなりません。チップが深く入りすぎていると、音が一切立たずミルクを温めているだけになります。
チップが浅く入りすぎていると、音がボコボコ言って泡だらけのミルクになります。目安としては、チッチッチという様な、ミルクの表面とチップの先が時々かするようにすると良いでしょう。
この工程というのは、ミルクに空気を入れる作業ですが、ほんの少しずつ空気を入れる必要があるのです。
細かな空気を入れることで、シルクの様に滑らかなミルクを作ることができます。この間にミルクの中に空気が入ってどんどんミルクのかさが増していきます。
この辺りは動画で見るのがわかりやすいと思うので二つほどおすすめのものを紹介しておきます。
スチーミングその3(ミルクの攪拌と温め方)
だいたい4秒から6秒間ミルクに空気を入れたら
今度はスチームノズルを少し奥に入れて(チップ一つ分ぐらい)ミルクを回転させましょう。
この工程は攪拌(かくはん)と呼ばれて、ミルクと空気を混ぜ合わせるためにあります。うまくミルクを攪拌することがミルクを綺麗に仕上げるためのコツになります。
それと同時にミルクの温度を適切な温度まで引き上げなければなりません。
適切な温度と言うのは、ジャグを持っている手が熱すぎて離してしまいたくなるぐらいの温度です
指定の温度に達したらすぐにスチームをやめましょう。
すぐにスチームをやめないとミルクの温度が上昇しすぎて、ミルクがボロボロになって、臭くなります。
ミルクの温度が低すぎると、自然とコーヒーもぬるいものになってしまうので
これも気をつけなければなりません。
ちなみにミルクの攪拌(かくはん)にはある程度時間がかかります。
しかし、ミルクが指定の温度に達するまでに攪拌しきらなければなりません。
なので、先程言った様に冷たいミルクを使う必要があるのです。
生ぬるいミルクを使うと温度がすぐに上昇してしまい、攪拌に時間が取れないからです。
スチーミングその3(スチーミングの後)
スチーミングをした後はスチームノズルをすぐに乾吹かしして、
濡れたタオルでさっと拭きましょう。
その後ジャグを確認してミルクの表面に大きな泡がないか確認します。
結構な頻度で泡が残ることが多いので、そんなときはジャグをカウンターバーに強く叩きつけます。
結構強く叩かないと、泡が潰れないのでジャグの上で手を覆う様にして
叩きつけましょう。手で覆うことで、ミルクが飛び散りません。
それが終わったらすぐにでもカップにミルクを注ぎ始めます。
もし、何かの事情でスチーミングした後少し時間が経ってしまった場合は
ジャグの底をカウンターバーにつけながらぐるぐるとミルクを回転させましょう。
そうすることでミルクをもう一度攪拌することができます。
スチーミングの後にしばらく置いてしまうと、ミルクが次第に分離していきます。つまり下には暖かいミルク、上には泡といった形です。
分離した状態だと、美味しいコーヒーもラテアートもできません。
ミルクのテクスチャーは均一な状態にしておかないといけないのです。
ミルクの注ぎ方
それではミルクを注いでいきましょう。
一番はじめはカップを少し傾けて持ちます。
カップが安定しない人はテーブルの上で置きながらやってもいいでしょう。
カップを45度ぐらい傾けたら、コーヒーの深さが一番深い所に向けて
ミルクを注いでいきます。少し高めのカップ上15cmぐらいの高さから注いで
コーヒーとミルクを混ぜていきます。
ミルクの注ぎ方は一気に注がず、ゆっくり回しながら注ぐと良いでしょう。
カップを傾けているので、ミルクを注いでいくとカップの縁までコーヒーが
到達すると思います。
その後はジャグの先を一気にカップのコーヒー表面まで近づけて
ラテアートを書いていきます。
初心者はまずハートの形になる様に目指していきましょう。
ラテアートを書き終わったら、ジャグをすぐに洗うのが理想的です。
カップにミルクが残っていると不衛生になってしまう上、ミルクの汚れも
取りづらくなってしまいます。
それにジャグを洗うことでジャグの温度を冷ますという意味もあります。
エスプレッソの作り方で言った様にミルクと同様ジャグも冷たい状態に
しておくことが良いミルクを作る条件になってきます。
まとめ
いかがだったでしょうか。コーヒー作りの中でも
一番苦労するパートだとは思いますが、ここまで
しっかりできたら、最低限バリスタとして働けると思います。
もしくは働きながら学んでいきましょう。
バリスタはラテアーティストではありません。
メルボルンにいるときによくバリスタになりたい人に会いましたが、
みんなラテアートが描けないから面接にいけないとか、
ラテアートを上手くなりたいと言う人が多かったと思います。
しかし、カフェで働くにはラテアートよりも以下のことをできた方がよっぽど良いです。
- エスプレッソを正しく抽出する
- スチーミングを綺麗にする
- スピーディーに作業をする
そしてそれらを完璧にするのは結構難しいです。
なぜならカフェにくるお客さんの大半はテイクアウェイが多く、
メルボルンでは基本的にテイクアウェイのカップにはラテアートをしません。
なので、美味しいコーヒーを早く提供することの方がよっぽど大切なのです。
この記事が少しでもバリスタを目指す人の力になれればと思います。
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